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糖尿病の基礎知識15 血糖対策のウォーキング1

運動を始めると、細胞の中ではエネルギー不足の状態が起こります。これを解消するために、できるだけ多くのエネルギーを作り出そうとして細胞のミトコンドリアの中でATP(アデノシン三リン酸)がリンを2個外してAMP(アデノシン一リン酸)に変化してエネルギーが作り出されます。 細胞内にAMPが多くなると、エネルギーの枯渇状態を感知してAMPキナーゼ(アデノシン一リン酸キナーゼ)という酵素が活性化します


糖尿病の基礎知識14 血糖値改善の運動

日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド」では、運動について紹介されています。 ◉運動の種類:インスリン感受性を増大させる有酸素運動と筋肉量を増加し筋肉増強効果のあるレジスタンス運動がある。肥満糖尿病患者では、両者を組み合わせた水中歩行が膝への負担も少なく安全で有効な運動である。 ◉運動強度:最大酸素摂取量の50%前後が推奨される。強度の程度は心拍数で判定し、50歳未満では1分間に100~12


糖尿病の基礎知識13 血糖改善の食事のポイント3

7)アルコールの制限 糖尿病の場合には、アルコール飲料は原則として禁止されます。その理由は、エネルギー量が1gあたり約7kcalと高く、吸収されやすいので血糖値が上昇しやすいことに加えて、食欲が進むために食べすぎの原因にもなるからです。 血糖値があまり高くない人の場合には、条件つきで1日に160kcalほどの飲酒が許されることもあります。その量はビールではコップ(180cc)に1杯半、日本


糖尿病の基礎知識12 血糖改善の食事のポイント2

3)ビタミンとミネラルの充分な摂取 ビタミンとミネラルはエネルギー代謝を促進して血糖値を下げる役目をすると同時に、血管の再生を進めるためにも大切なものです。ブドウ糖の代謝に特に必要なのはビタミンB₁で、これは豚肉、うなぎ、魚介類、豆類、そばなどに豊富に含まれています。 ビタミン、ミネラルを充分に摂るためには緑黄色野菜をはじめとした多くの食品を摂るようにして、肉類、乳製品、海藻も欠かさないよ


糖尿病の基礎知識11 血糖改善の食事のポイント1

1)適切なエネルギーの摂取 血糖値はブドウ糖の増加によって高まっていくため、食事の改善ではブドウ糖が含まれた糖質を減らせばよいように感じるかもしれません。しかし、血糖値を下げるには糖質を減らすだけでなく、適正なエネルギー量を確保するとともに、三大エネルギー源のバランス(エネルギー比率)が基本となります。 血糖値を下げるためには、代謝を高めることが大切であり、体を正常に働かせるためにエネルギ


糖尿病の基礎知識10 糖尿病で高血圧になる理由

糖尿病によって高血圧になる理由として、以下のことがあげられています。 ①循環血液量が増える 血糖値が高い状態では体内の細胞の浸透圧が高くなり、水分が細胞内から細胞外に出てきたり、腎臓から吸収される水分の量が増えるようになります。その結果、血管の中を循環する血液の量が増えて、血管を圧迫して、血圧が上昇します。 ②インスリン抵抗性がある 糖尿病の人はインスリン抵抗性があります。インスリ


糖尿病の基礎知識9 糖尿病と高血圧の関係

糖尿病の合併症は血管が傷むことによって起こりやすいだけに、血管にダメージを与える他の要因が加わることによって、合併症が起こりやすくなることが指摘されています。 最も合併症に影響を与えているのは血圧です。糖尿病によって血管の弾力性が低下してくると、血流を確保するために心臓の圧力が高まり、高血圧になりやすくなります。このことが動脈硬化の危険性を高めています。 国民健康・栄養調査(2023年


糖尿病の基礎知識8 その他の合併症

三大合併症は比較的早く発症するものですが、血管のダメージは全身に影響を与えます。その代表的なものは動脈硬化と免疫低下です。 ◎動脈硬化 高血糖状態が長く続くと、大きな血管が傷む動脈硬化へと進み、心臓疾患や脳血管疾患の障害の危険性も高まります。糖尿病患者は一般の人に比べて2倍以上も動脈硬化になりやすい傾向があります。 そのため、糖尿病では、血糖値を下げると同時に、抗酸化成分を摂ることも


糖尿病の基礎知識7 三大合併症

糖尿病の合併症の中でも発症数が多い腎症、網膜症、神経障害は三大合併症と呼ばれています。 ◎腎症 慢性腎不全によって人工透析を始める人は年間30万人を超えていますが、そのうち約44%は糖尿病性腎症が原因で、もともと腎臓に原因があった人の割合を上回っています。 糖尿病性腎症で人工透析を始めた人の寿命は、それ以外の腎機能障害が進行して人工透析を始めた人よりも、年齢によって違いはあるものの5


糖尿病の基礎知識6 合併症の特徴

「糖尿病で死ぬことはない」とは、検査を受けて高血糖を指摘された人が、よく口にする言葉です。こういった感覚が、糖尿病の受診を遅らせる原因となっています。 糖尿病になったからといって、それだけで亡くなることはないものの、年間の死亡原因を見ると、糖尿病は以前は第10位前後でした。今では順位は下回っていますが、それでも年間に約1万6000人が亡くなり、数としては増えています。 その多くは合併症